【工場DX】現地デザインレビュー×レーザースキャンを同日にやる理由|手戻りを減らす段取りの話
年始の現場で“ずれ”を小さくする一歩
あけましておめでとうございます
本年もよろしくお願いいたします
年始早々、ある現場での認識合わせを現地でやることに。デザインレビューとレーザースキャン実測を同日に行い、後工程の手戻りを減らす準備が整ってきました。小さな曜日表記のミスも教訓に、基本の徹底から始めます。
直近の進展と気づき
年明けの最初の案件で、ある企業の生産準備チームと「現地でのデザインレビュー」と「設備寸法の最終確認(レーザースキャナ実測)」をワンセットで行う段取りがまとまりました。候補日は二つに絞り、主要メンバーからは両日とも参加可の返答。年始の早い段階で、関係者の足並みをそろえられたのは大きい。設計側・製造側・現地側が同じ図面と同じ床の上で話すほうが、温度差が出にくいからです。
一方で、候補日の「曜日と日付の不一致」という小さな取りこぼしがありました。すぐに「日付を正」にすることで解消しましたが、この種のケアレスミスは後の混乱を呼びます。そこで今回は、日程表記のルール(YYYY/MM/DD(曜) 現地開始・終了時刻、集合場所、想定アジェンダ)をあらためて全員で統一することに。段取りの精度は、信頼の速度に直結します。
もうひとつの進展は、現地実測の狙いが全員で明確になったこと。目的は「図面通りかを証明すること」ではなく、「差分を見つけて意思決定につなげること」。レーザースキャナで“いまそこにある現場”を点群で捕まえ、CADと重ねて干渉やクリアランス不足を洗い出す。そこで出た事実を、その場のデザインレビューで合意形成まで持っていく。この流れが握れたのは、年始の良いリズムづくりになりました。
専門の視点から(今回の論点)
今回の論点は「現地実測とデザインレビューを同日に束ねる意味」と「そのための安全・品質・段取りの要点」です。
- 現地実測×DRの同日開催の価値
- 現物と設計を同時に見られるので、抽象論になりにくい。
- “気づき→判断→合意”のリードタイムが短く、後工程の手戻りを抑えられる。
- 境界(誰がどこまでやるか)が曖昧なまま進みづらい。インターフェースの責任分界がクリアになる。
- 実測の技術ポイント(レーザースキャナ)
- 座標系の原点と基準(床墨・柱芯・機械基礎の角など)を事前に定義。これが曖昧だとCADとの重ね合わせ誤差が増える。
- 視界遮蔽物(柱、配管、仮設物)を想定したスキャン位置計画。点密度は「判断に必要な寸法精度」から逆算し、過剰品質を避ける。
- 反射・吸収に弱い素材(鏡面・黒)にはターゲットやマーカーで補助。床のレベル差や膨張目地も押さえる。
- その日のうちに簡易ビューアで見られる中間成果(点群のサマリ、干渉が疑われる箇所のスクショ)を出す。意思決定の“熱”を冷まさないためです。
- 安全と現場オペレーション
- 稼働中の通路・フォークリフト動線に入らない配置、立入区画の明示、誘導員の配置。測定者と監視役を分ける。
- PPE(安全靴、反射ベスト、保護具)の徹底。写真・点群データの取り扱いルールを共有し、撮影禁止エリアは事前マップ化。
- 機器搬入の申請、電源・バッテリー計画、機器の転倒防止。現場の5分KY(危険予知)で当日の変化点を確認。
- デザインレビュー(DR)の焦点を絞る
- その場で「決めること」「保留すること」「宿題にすること」をアジェンダ化。保留にする条件(追加データ、他部署承認)を明文化。
- ロボットの到達範囲、設備のメンテナンス空間、オペレータ動線、非常時の退避、セーフティ機器の位置を“現地の点群”で可視化して議論。
- 電源・エア・真空・排気・ネットワークなどのユーティリティ接続、ケーブルトレイや床配線のルート、貫通部の工法と責任分界を一覧化。
- 協働ロボットの案件では、リスクアセスメントを早めに起動。速度・力の設定、接触可能性、セーフティ監視の手段を“(ある関係者)”として固定し、以降の設計を安定させます。
- 版管理と差分管理
- 「現地で見たもの」に勝る情報はありませんが、記録化しなければ再現性がない。最新レイアウトの版(Rev.)、点群の採取日時、測位条件を一式で管理。
- CADと点群のオーバーレイで出た差分は、単なる指摘ではなく「是正案」「影響範囲」「決裁ルート」まで添えて“その場で動かせる”粒度に。
こうした当たり前を、年始の最初の案件で丁寧に積む。小さな段取りの質が、そのままプロジェクトの歩留まりになります。経験上、実測とDRを分けて別日にすると、間に“解釈の揺れ”が入りやすく、手戻りが増えがちです。同日に束ねるのは体力が要りますが、後の負債は確実に減ります。
次の一手
- 事前配布パックを前々日までに共有
- 最新レイアウト(版情報付き)、インターフェース一覧、ユーティリティ条件、当日測るリスト(To-Measure)と許容差、当日アジェンダ。30分で読めるサマリも添える。
- 実測当日の段取りを“見える化”
- スキャン位置計画、座標系の原点、持込機材と予備電源、PPE、立入区画図、撮影可否マップ、搬入・搬出導線、緊急時連絡網。現場入り前に5分KYを実施。
- 決定事項ログの即日発行
- DRの「決定/保留/宿題」をその日のうちに1枚に要約。期日と責任者を入れ、翌日の午前中に再確認。小さく速く回すことで、勢いを切らさない。
📘用語メモ
- デザインレビュー(DR):設計の妥当性を関係者で確認する会。要件・安全・保全・製造性などの観点で評価する。
- レーザースキャナ:周囲をレーザーで測って3D点群(ポイントクラウド)として現場形状を記録する機器。
- 設備寸法の最終確認:機械の外形、据付占有、作業空間などが計画通りに収まるかを現地で検証すること。
- 点群データ(ポイントクラウド):3次元空間の点の集合。CADと重ねて干渉やクリアランスを検証できる。
- クリアランス:設備や部材同士、または人と設備の間に確保すべき離隔距離。
- 干渉チェック:レイアウト通りに配置したときに、物理的な重なりや接触が起きないかを確認すること。
- インターフェース(I/F)一覧:電源・エア・信号・機械的接続など、設備同士や設備と建屋の接続条件の一覧。
- 座標系・原点:点群とCADを整合させるための位置基準。原点と軸の向きを決めておく。
- 版管理(リビジョン管理):図面やドキュメントの更新履歴を番号で管理し、最新版を明確にすること。
- リスクアセスメント:危険源を洗い出し、リスク低減策を決める手順。協働ロボットでは速度・力の制限などが論点。
- PPE(個人用保護具):安全靴、ヘルメット、保護メガネ、反射ベストなど、作業者を守る装備。
- KY(危険予知活動):作業前にその日のリスクや変化点を共有する短時間のミーティング。


